複数店舗になると、会社全体の数字だけでは足りない
店舗や拠点が一つのうちは、会社全体の売上や利益を見るだけでも、ある程度経営状況を把握できます。
しかし、店舗や拠点が増えてくると、会社全体の数字だけでは判断が難しくなります。
会社全体では黒字でも、ある店舗は大きく利益を出し、別の店舗は赤字になっているかもしれません。
また、売上が大きい店舗が必ずしも利益を出しているとは限りません。
家賃、人件費、広告費、地域性、稼働率などによって、店舗ごとの利益構造は大きく変わります。
複数店舗・複数拠点を運営する会社では、拠点別損益を見える化することが重要です。
まずは店舗別の売上を正確に分ける
最初に必要なのは、店舗別・拠点別の売上を正確に分けることです。
売上管理システムや請求データ、会計ソフトの補助科目などを使い、どの売上がどの店舗に対応するのかを整理します。
売上の区分が曖昧なままでは、拠点別損益は作れません。
まずは売上を正しく分けることが第一歩です。
直接費と人件費を分ける
次に、店舗ごとに直接発生している費用を分けます。
代表的なものは、次のような費用です。
- 店舗別の仕入・材料費
- 店舗スタッフの人件費
- 店舗の家賃
- 水道光熱費
- 通信費
- 店舗ごとの広告費
- 消耗品費
特に重要なのは人件費です。
人件費比率が高い事業では、店舗ごとの人員配置によって利益が大きく変わります。
売上だけでなく、人件費と利益の関係を見る必要があります。
共通費はルールを決めて配賦する
本部費用や管理部門費、役員報酬、システム費など、複数店舗に共通する費用もあります。
これらをどのように配賦するかは、会社ごとにルールを決める必要があります。
たとえば、次のような方法があります。
- 売上比率で配賦する
- 人員数で配賦する
- 面積で配賦する
- 店舗数で均等配賦する
- 重要な共通費だけ配賦する
最初から完璧な配賦を目指す必要はありません。
経営判断に使うためには、一定のルールを決めて継続的に比較できることが重要です。
店舗別に見るべき指標
複数店舗・複数拠点の経営では、次のような指標を見ると有効です。
- 店舗別売上
- 店舗別粗利
- 店舗別人件費
- 人件費率
- 家賃比率
- 営業利益
- 利益率
- 客単価
- 稼働率
- 生産性
これらを毎月確認することで、店舗ごとの特徴が見えてきます。
数字を見える化すると、判断が変わる
拠点別損益を作ると、これまで感覚で判断していたことが数字で見えるようになります。
たとえば、
- 売上は高いが利益が残らない店舗
- 売上は小さいが利益率が高い店舗
- 人件費が重く利益を圧迫している店舗
- 固定費が高く損益分岐点が高い店舗
- 成長投資をすべき店舗
- 改善が必要な店舗
といったことが分かります。
これにより、採用、広告、投資、撤退、店長評価などの判断がしやすくなります。
経営会議で使える形にする
店舗別損益は、作るだけでは意味がありません。
毎月の経営会議で確認し、改善アクションにつなげることが重要です。
店舗別損益をもとに、次のような議論ができます。
- どの店舗に人員を増やすべきか
- どの店舗の利益率が低下しているか
- 広告費の効果が出ているか
- 店長ごとの改善課題は何か
- 新規出店してもよい状態か
複数店舗・複数拠点の会社では、拠点別損益は経営会議の中心資料になります。
萩原公認会計士事務所では、複数店舗・複数拠点を運営する中小企業に向けて、拠点別損益の設計と経営会議資料づくりを支援しています。
会社全体の数字だけでは見えにくい利益構造を、経営判断に使える形へ整えていきましょう。
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