会社全体の利益だけでは判断できない段階がある
会社が一つの事業だけを行っている場合、会社全体の損益を見れば、ある程度経営状況を把握できます。
しかし、事業が増え、店舗や拠点が増え、サービスの種類が増えてくると、会社全体の利益だけでは十分な判断ができなくなります。
会社全体では黒字でも、実際には一部の事業が利益を出し、別の事業が利益を圧迫していることがあります。
この状態で会社全体の損益だけを見ていると、どの事業に投資すべきか、どの事業を改善すべきかが分かりません。
そこで必要になるのが、事業別損益です。
事業別損益とは何か
事業別損益とは、会社全体の損益を、事業、部門、店舗、拠点などの単位に分けて把握する管理資料です。
たとえば、複数のサービスを提供している会社であれば、サービスごとの売上、直接費、人件費、固定費、利益を見える化します。
複数店舗を運営している会社であれば、店舗ごとの売上、粗利、人件費、家賃、利益を比較します。
目的は、どの事業が会社の利益を生み、どこに改善余地があるかを把握することです。
導入すべき会社の特徴
事業別損益を導入すべき会社には、いくつかの特徴があります。
1つ目は、複数の事業を展開している会社です。たとえば、本業に加えて新規事業を始めた会社では、新規事業が本当に利益を出しているのかを確認する必要があります。
2つ目は、複数店舗・複数拠点を運営している会社です。店舗や拠点ごとに売上や固定費が異なるため、会社全体の数字だけでは判断できません。
3つ目は、人件費比率が高い会社です。人の配置によって利益が大きく変わる業種では、部門別・拠点別の人件費管理が重要になります。
4つ目は、新規投資や撤退判断を検討している会社です。投資を継続すべきか、改善すべきか、撤退すべきかを判断するには、事業ごとの採算が必要です。
完璧な配賦より、まず見える化が大切
事業別損益を導入しようとすると、共通費をどのように配賦するかで悩むことがあります。
本社人件費、管理部門費、広告費、システム費、役員報酬など、複数事業にまたがる費用をどのように分けるかは簡単ではありません。
もちろん、配賦ルールは重要です。
しかし、最初から完璧なルールを作ろうとすると、導入が進まないことがあります。
まずは、売上、直接費、直接人件費、主要な固定費を分けるだけでも十分です。
おおまかな採算が見えるだけでも、経営判断の質は大きく変わります。
事業別損益で見えてくること
事業別損益を作ると、次のようなことが見えてきます。
- 売上は大きいが利益率が低い事業
- 売上は小さいが利益率が高い事業
- 人件費が重く利益を圧迫している事業
- 固定費が高く損益分岐点が高い事業
- 成長投資を続けるべき事業
- 改善または縮小を検討すべき事業
これらが見えると、社長の感覚だけではなく、数字をもとに議論できます。
幹部との共有にも役立つ
事業別損益は、社長だけのための資料ではありません。
幹部や部門責任者と共有することで、それぞれの責任範囲が明確になります。
自分の部門がどのくらい売上を上げ、どのくらい費用を使い、どのくらい利益を出しているのかが見えると、改善意識が高まります。
経営会議で事業別損益を確認することで、数字をもとにした議論がしやすくなります。
成長企業ほど早めに整えるべき
事業別損益は、会社が大きくなってから慌てて作るより、成長途中で整えておく方が効果的です。
新規事業、拠点展開、採用、設備投資を進める会社では、早い段階から事業ごとの採算を把握しておくべきです。
萩原公認会計士事務所では、複数事業・複数拠点を展開する中小企業に向けて、事業別・部門別損益の設計と経営会議資料づくりを支援しています。
会社全体の利益だけでは判断しづらくなってきたら、事業別損益を整えるタイミングです。
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