年商1億円は、経営管理の考え方を変えるタイミング
会社の売上が年商1億円を超えてくると、経営の難しさは少しずつ変わってきます。
創業初期や小規模のうちは、社長が現場を見て、売上や資金繰りを感覚的に把握しながら意思決定することも可能です。お客様の状況、社員の動き、入金予定、支払予定も、社長の頭の中である程度整理できるかもしれません。
しかし、売上が伸び、社員が増え、取引先や事業の数が増えてくると、社長の感覚だけでは管理しきれない領域が増えていきます。
特に年商1億円を超えた会社では、会社全体の売上や利益だけを見ていても、経営判断に必要な情報が不足することがあります。
たとえば、次のような状態です。
- 会社全体では黒字だが、どの事業が利益を出しているか分からない
- 売上は伸びているが、手元資金が思ったほど増えていない
- 幹部に数字を任せたいが、共有できる資料がない
- 新規採用や設備投資の判断を、感覚で決めている
- 月次試算表はあるが、経営会議ではほとんど使っていない
このような状態が続くと、会社は伸びているにもかかわらず、意思決定の精度が上がりません。
必要なのは、会計処理ではなく経営管理の仕組み
年商1億円を超えた会社に必要なのは、単に会計処理を正しく行うことだけではありません。
もちろん、正確な会計処理は重要です。しかし、経営者が次の判断をするためには、試算表や決算書をそのまま見るだけでは足りないことがあります。
必要になるのは、次のような経営管理の仕組みです。
- 月次経営レポート
- 事業別・部門別損益
- キャッシュフロー予測
- 予算実績管理
- KPI管理
- 経営会議資料
- 投資判断に使う資金計画
これらは、税務申告のための資料というよりも、社長と幹部が同じ数字を見ながら判断するための資料です。
社長の頭の中にある数字を、組織で共有できる形にする
成長企業では、社長だけが数字を把握している状態から、幹部や管理職と数字を共有する状態へ移行する必要があります。
社長が感覚的に分かっていることでも、幹部には伝わっていないことがあります。
たとえば、
- どの事業を伸ばすべきか
- どの部門の利益率が低いのか
- どこに人を増やすべきか
- どの固定費が重くなっているのか
- 今後どの程度の投資余力があるのか
こうした情報を、毎月の経営会議で確認できる状態にすることが重要です。
経営管理体制を整える目的は、資料をきれいに作ることではありません。社長と幹部が、同じ数字を見ながら、次の打ち手を決められる状態をつくることです。
まず確認すべきこと
年商1億円を超えた会社が最初に確認すべきなのは、現在の月次資料が経営判断に使える状態になっているかどうかです。
次のような点を確認してみてください。
- 試算表は毎月いつ確認できているか
- 売上、粗利、人件費、固定費の推移を見ているか
- 事業別・部門別の利益を把握しているか
- キャッシュフローの見通しを持っているか
- 予算と実績の差異を確認しているか
- 経営会議で数字をもとに議論しているか
これらが整理されていない場合、会社の成長に管理体制が追いついていない可能性があります。
経営管理体制は、会社の成長を支える土台
年商1億円を超えた会社にとって、経営管理体制は単なる管理業務ではありません。
新規採用、設備投資、新規事業、借入、事業承継、M&Aなど、会社が次の段階に進むときには、必ず数字による判断が必要になります。
そのときに、月次資料や事業別損益が整っていなければ、判断が遅れたり、感覚に頼った意思決定になったりします。
経営管理体制を整えることは、会社の選択肢を増やすことでもあります。
萩原公認会計士事務所では、群馬県高崎市を拠点に、年商1億円を超えた中小企業・成長企業に向けて、月次経営レポート、事業別損益、キャッシュフロー予測、経営会議資料づくりを支援しています。
現在の試算表や月次資料が経営判断に使える状態になっているか、一度確認してみてはいかがでしょうか。