会社を売るつもりがなくても、財務資料の整理は重要
事業承継やM&Aは、すぐに予定していない会社にとっても無関係ではありません。
将来的に親族内承継、役員承継、第三者承継、M&Aなどを検討する可能性があるなら、早い段階から財務情報を整理しておくことが重要です。
財務資料が整っていない会社は、いざ承継やM&Aを検討する段階になってから、準備に時間がかかります。
また、自社の収益構造を正しく説明できなければ、後継者、金融機関、買い手候補、支援機関との話し合いも進めにくくなります。
整えるべき資料1:月次経営資料
まず整えるべきなのは、月次経営資料です。
決算書だけでは、会社の直近の状況や変化を十分に把握できません。
月次で売上、粗利、人件費、固定費、営業利益、キャッシュフローを確認できる資料があると、会社の実態を説明しやすくなります。
事業承継やM&Aでは、過去の決算だけでなく、直近の業績推移も重要です。
整えるべき資料2:事業別・部門別損益
複数事業や複数拠点を運営している会社では、事業別・部門別損益が重要です。
会社全体では黒字でも、どの事業が利益を出しているのか、どの事業に課題があるのかが分からなければ、会社の価値を正しく説明できません。
たとえば、買い手候補や後継者が知りたいのは、会社全体の利益だけではありません。
どの事業が収益の柱なのか、どこに成長余地があるのか、どの固定費が重いのかといった情報です。
そのため、事業別・部門別の損益を整理しておくことが重要です。
整えるべき資料3:キャッシュフローと借入状況
事業承継やM&Aでは、キャッシュフローと借入状況も重要です。
利益が出ていても、借入返済が重い会社では、実際の資金余力が小さいことがあります。
また、設備投資や運転資金の必要性によって、将来の資金繰りが変わります。
整えるべき資料は次のようなものです。
- 資金繰り表
- キャッシュフロー予測
- 借入残高一覧
- 返済予定表
- 設備投資予定
- 運転資金の見通し
これらを整理しておくことで、会社の財務状況を説明しやすくなります。
整えるべき資料4:将来計画
事業承継やM&Aでは、過去の数字だけでなく、将来の計画も重要です。
今後どの事業を伸ばすのか、どの投資を行うのか、人員体制をどうするのか、どの程度の利益やキャッシュフローを見込むのかを整理する必要があります。
将来計画があると、後継者や買い手候補も会社の方向性を理解しやすくなります。
また、金融機関への説明にも役立ちます。
整えるべき資料5:経営会議の記録とKPI
事業承継やM&Aでは、会社がどのように経営管理を行っているかも見られます。
毎月の経営会議で、どの数字を見て、どのような改善を行っているかが整理されている会社は、管理体制が整っている印象を与えます。
KPIや予算実績管理も重要です。
会社が数字をもとに改善を続けていることを示せれば、経営の再現性を説明しやすくなります。
M&A仲介ではなく、判断材料づくり
萩原公認会計士事務所では、M&A仲介や買い手・売り手のマッチングを主目的とした業務は行っていません。
一方で、事業承継やM&Aを見据えた財務整理、月次経営資料、事業別損益、キャッシュフロー、将来計画の整理は支援しています。
会社を売却するつもりがない場合でも、財務情報を整理しておくことは、経営の選択肢を増やすことにつながります。
将来の承継やM&Aに備える意味でも、まずは現在の経営管理体制を見直すことが重要です。
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